第6章 禁じられた遊び
鬼火は身体を震わせ、動き出す。
そして何か音が聞こえると思った時、鬼火が叫んだ。
思わず耳を塞いだ時、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
「結衣、麻衣、真砂子!おいっ!?だいじょうぶか!?」
「あっ……」
「結衣?どうした、泣いて……」
戸惑った様子のぼーさんに告げられ、あたしは自分が泣いていることに気が付いた。
頬が生ぬるい雫で濡れていて、瞳からは止めどもなく涙が流れている。
「どうしたんだ。急に三人とも蹲るからびっくりしたぞ」
そう言われて、麻衣と真砂子を見る。
麻衣は泣いていないが、真砂子はあたしと同じように泣いていた。
「結衣と真砂子……も、見たの……?」
「う、ん……」
「……ええ……。坂内さんが───消えました……」
その後、あたし達は会議室へと向かった。
一向にあたしは涙が止まらなくて、ぼーさんに背中をさすられていた。
(目の前で、坂内くんが……助けられなかった……)
涙がどうしても止まらない。
そんな中で、真砂子が先程あたし達が見た内容を話してくれた。
「───結衣さんと麻衣さんが見た夢の通りです。ここでは霊が共食いしています。坂内さんは……吸収されました」
その言葉でまた涙が零れる。
そんなあたしをぼーさんは抱き寄せて、自分の胸の中に収めるようにした。
「ご、めん……ぼーさん……」
「いいよ。泣きたきゃ、泣けばいい」
優しい言葉が余計に涙を誘う。
「……じゃあ、なに?祓われた霊は除霊されてるんじゃなくて、別の場所に逃げて……食べたり食べられちゃったりしてるワケ?」
「それで食べたほうがより強い霊になる……ゆうことですか?」
その言葉に、あたしは青ざめた。
共食いが続いてから、最後に一つの霊が残ったらどうなるのだろうと嫌な事を考えてしまう。
あたしは思わずぼーさんの胸元を掴む。
そんなあたしを彼は優しく頭を撫でてくれた。
「どうする、ナルちゃん」
「……除霊は少し待った方がいいかもしれないな。こんど逃げられたらどうなるか……」
「あの……いいですか?」
話を遮るように、安原さんの声が聞こえた。
あたしは彼の声に反応するように、ぼーさんから離れる。
「もう、大丈夫か?」
「……ん」