第6章 禁じられた遊び
「よー、ナル坊。このカメラもうダメなんじゃないか?」
設置していたカメラは見事に消火剤を被っている。
そのせいで恐らく故障しているはずだが、大丈夫なのだろうかと消火剤まみれのカメラを眺めた。
「……ああ。大丈夫だ、保険をかけてある」
「へー……保険」
「そうなん……」
「「ん?」」
あたしと麻衣はナルの言葉に固まる。
「……あのう。以前あたしと結衣が壊したカメラを弁償する代わりに助手をやれと仰ったのは……」
「つまりは、ただたんに人手が欲しかっただけということでしょうか……?」
「少しは二人とも賢くなったじゃないか」
にっこりと微笑むナルに腹の底から怒りが込み上げてきた。
「てっめえ!だましやがったなあ!!!」
「人を騙して脅しやがってええ!!!」
見事にあたしと麻衣は騙されていたのだ。
保険があるのなら、あたしと麻衣は弁償で怯えることなんて無かったのにと怒りで足を上げればぼーさんに止められた。
翌朝。
あたしと麻衣はテープを手にして会議室へと向かっていた。
だがずっとナルへの怒りは溜まっている状態。
「くそう、ナルの奴!」
「あたしと結衣があの時どんだけ焦ったと思ってんだよ。人の弱みを利用しやがって」
「だけどまぁ、おかけでSPRのバイトができてる訳なんだけどねぇ!?」
ナルもそうだが、リンさんもリンさんである。
あたしと麻衣が弁償の代わりに助手をしていたのは知っているはず。
それはのに『保険がある』とは教えてくれなかった。
(2人揃っていい性格してるよ、ほんと!)
怒りを顕にしながら会議室へと二人で向かっている時だ。
「おい。どうだ、除霊とやらはすんだか」
偉そうに上から目線の声。
その声にあたしと麻衣は嫌そうに振り返ってから、やっぱりと肩を落としたくなった。
「松山先生……」
絶対に関わりたくない松山が、あたし達の後ろで腕を組んでいたのだ。
「今朝、また火事があったそうだな。除霊なんか出来てないんじゃないのか?だいたい幽霊なんてもともといないんだよ。ありもしないものを詐欺のような真似をして、どうせ金儲けが目的なんだろう?」
「……あの!すみません、仕事中なので。苦情は責任者にいってください。失礼します!」