第6章 禁じられた遊び
二人揃って枕を投げ捨てる。
急に眠れと言われても寝れる訳じゃない。
それに先程居眠りしたせいで眠気は吹っ飛んでしまっている。
「まあまあ。今夜になれば分かるじゃないですか。放送室で火事が起これば谷山さん達の夢がアテになるってことでしょ?谷山さん達も火事の事が当たったら協力態勢をとると言うことで」
「……うー……」
「んー……」
「……少年。いつから結衣と麻衣のマネージャーになったんだ」
「今からですよ」
ぼーさん達は本当に好き勝手言ってくれる。
本当にあたしと麻衣が見た夢が正夢になるとも限らない。
それなのにアテにしようとするなんて間違っているのでは……と思いながら息を吐き出した。
だが、事件は起きてしまった。
その夜……と言っても翌朝の午前四時三十二分にとある事が起きたのだ。
放送室でボヤ騒ぎが起きたのである。
「前にもこんなことがあったような……」
「やだ、爪折れちゃった」
宿直室で眠っていたあたし達は火事の知らせで飛び起きて消化器をもって放送室に飛び込んだのだ。
お陰で疲れ切っているわけだが……。
「……おみごと。大当たり」
あたしと麻衣が見た夢が当たってしまった。
緑陵高校の怪事件の一つである、『十二日ごとに起こる更衣室の火事』なのだが……夢の中ではあの鬼火が放送室に移動したのをナルに伝えれば『機材を放送室におく』と言い出しのだ。
そしたら火事が起きた訳だが……。
(まさか当たるなんて思ってなかった……)
役に立てたのは良かったかもだけど、微妙な感じである。
「話に聞いていたより派手だったな。壁が焦げる程度って言ってなかったか?」
「そのはずなんですけど……」
「麻衣、結衣。他に鬼火がいたという場所は?」
「「えっ!?」」
急に聞かれたあたし達は顔を見合わせる。
そして思い出すように、夢の中で浮かんでいた鬼火を思い出していく。
「えと……印刷室と……」
「LL教室と保健室のが大きかったかなあ?」
「……でも……」
「なんだ」
「当たったのマグレかもしんないじゃん……」
「うん。今回は奇跡的に当たったぐらいかもだし」
「たいしてアテにはしてない」
なんだその物言いは……とナルを殴りたくなった。
だが取り敢えずぐっと我慢する。