• テキストサイズ

ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第6章 禁じられた遊び


「……退魔法」


ナルが誰かに教えてもらうように言っていた。
教えてもらうとしたら、ぼーさんだろうか……と思いながらあたしはぼーさんの顔を覗き込んだ。


「どーした、結衣」

「ねぇ、ぼーさん。あたしに退魔法教えてよ」

「はあ?」

「あ、あたしにも!」

「なによ、イキナリ」

「あー、うーんと、ちょっとは役にたつかなーって」

「そそ、麻衣もあたしもちょっとは役立てるかなぁって」


流石に夢の中でナルに言われた……とは言えない。
なので誤魔化すように笑みを麻衣と浮かべていれば、ぼーさんは小さく溜息を吐き出した。


「お前らに除霊させるようじゃ、おれたちゃーおわりだよ……」

「なにおう!?」

「そんなこという!?」


ぼーさんは立ち上がると、あたしと麻衣の前で指を組んで見せた。


「指をこう組む」


何だかんだ言いながらも教えてくれるそう。
そんなぼーさんがやはり好きだなあと思いながらも、麻衣と一緒に指を組んでみる。


「……こ、こう?」

「ちょっと、難しいね……」

「これが不動明王印。このまま姿勢を正して『ナウマクサンマンダ バザラダンカン』」

「……はい?」

「なうまくさん……?」

「『ナウマクサンマンダ バザラダンカン』。真言(マンドラ)ってやつだ。ここに書いちゃるから」


ぼーさんはホワイトボードに、真言と呼んでいたものを書いてくれる。


「これ。唱えて消えなかったら───剣印を結んで気合いを入れる。こうね」

「な、なるほど」


両方の人差し指を真っ直ぐにして、あとの指は組む。
そしてあたしと麻衣はホワイトボードを見て、ぶつぶつと真言を唱えていた。

これをなんとか覚えなければ。
そう思いながら呟いていると、後ろで話し声が聞こえてくる。


「どうぞ」


安原さんがどうやらぼーさんとジョンにお茶を手渡したようだ。


「……しっかし、真砂子があれじゃ困ったな。本人は見えなくても分かるって言い張ってるけど、どうだか……」

「ナルは日本じゃ一流だって言ってたじゃん」

「言ってたねぇ」

「んー……真砂子は口寄せが得意なんだよなー」

「くちよせ?」

「霊を自分に乗り移されて質問に答えたりするんだが───考えてみりゃ、コックリさんと同じだよな」
/ 633ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp