第6章 禁じられた遊び
不貞腐れたように呟くあたしと麻衣だが、安原さんは相変わらずの笑顔である。
「いやだな、滝川さん」
「照れるな、照れるな」
「気を利かせてくださいよ。いい所だったのに」
サラリと言われた言葉に、ジョンがボードで頭をうちつけてあたしは椅子から転げ落ちそうになる。
「……少年や。少しオジサンと話をしよう。気持ちは分かるが、状況と場所を考えにゃいかんぞ。やはりこーゆーことはムードっちゅーモノがだね」
「あ、そうですね。じゃあ次は頑張ります」
「……結衣か麻衣、どちらかが好きなのか?」
「二人とも好きですよ」
まさかの言葉にあたしと麻衣は赤面。
さらりと『好き』なんて言われたことはなく、そういうのには免疫がない。
なんて思っていれば、安原さんはまさかの言葉まで発してしまう。
「あっ、でも渋谷さんも好きだなー。キレイだし」
「のあ!?」
「……でも」
驚いているあたし達を置いて、安原さんはぼーさんの手をそっ……と手に取る。
そして優しく握りながら囁いた。
「滝川さんはもっと好きです……」
あたしは倒れそうになってしまう。
好きな人が男の人に好きと言われている光景は何とも言えず、意識が飛びそうになった。
「結衣さん!?」
慌ててジョンが支えてくれていたが、驚きとなんとも言えない気分で心臓がおかしくなりそうだ。
「……少年……」
「はい?」
「遊んでるだろ……」
「もちろんです♡」
その言葉に、あたしはずっこけそうになる。
そしてぼーさんは疲れたように椅子に座ると、机に顔を預けてしまった。
「大人で遊ぶなよ……」
「子どもで遊ぼうとするからですよ。で、お仕事の方はどうですか?」
「……聞かないで……」
ぼーさんの言葉と、ジョンの困ったような笑み。
二人の様子からして、簡単には行っていないのがわかった。
「たいへん?」
「あまり、上手くいってない?」
「はあ……原さんの指示どおりに祓ってるんですけど、なんや手応えがないゆうか……」
「そっかー……」
手応えがない。
それはそこに霊が居ないからなのだろうか、それともそれ程強いからなのだろうか。
なんて思っていれば、あたしは夢の中のナルが伝えてきた言葉を思い出した。