第4章 放課後の呪者
「事件の様相はわかった。あれは呪詛だ。それも人形を使った厭魅……ということは人形を始末すればおわりだ。あとは犯人に呪詛をやめさせればいい」
「……じゃあ、なに?あたしをここへ呼んだってことは、つまりあたしが犯人だっていいたいわけ!?」
「まさか。笠井さんは犯人ではない。犯人は──産砂先生です」
全員が目を見張った。
「産砂先生…!?」
「──な、なにいってんのナル……」
「人形は焼き捨てました。あれを作ったのは先生ですね?」
あたし達が驚いているのなんて無視して、ナルは静かな声色で産砂先生に問いかける。
だが産砂先生は穏やかな表情で、穏やかな笑みを浮かべているだけだ。
「……なんのことですかしら……?」
「あなたが行った呪詛の道具は集めて焼きました。……すくなくとも空き地にあったぶんは」
「意味がわかりません」
「あれ以外にもあるのだったら、教えてください。──そして、今後二度としないと約束していただきたいのです」
ナルの言葉に、微かに産砂先生は眉を寄せた。
不愉快と言わんばかりの表情だ。
「……わたしは犯人ではありません」
「先生です」
「ちがいます」
二人のやり取りに、あたしと麻衣はハラハラとする。
ぼーさんや綾子たちも困惑したような表情をしているが、話は挟まずにただ静かに見守っているだけ。
(産砂先生が犯人……!?でも、……いや、確かに一回だけうっかり麻衣と『産砂先生だって動機がある』とは言ったけどさあ!?)
産砂先生は否定して、ナルはそうだと言う。
ナルは相変わらずの無表情だった。
「……先生以外に考えられないです。被害者たちは笠井さんの超能力事件のとき、ことごとく否定派でした。すくなくとも犯人の動機はあの事件に関係あります」
「……あら。でしたらわたしより笠井さんのほうがあやしいのでは?」
穏やかに微笑みを浮かべながら、産砂先生はそう言った。
(え……?)
笠井さんは酷く傷付いた顔をして、あたしは目を見開く。
あれだけ笠井さんを庇っていた先生が、そんな事を言うなんて……。
「──……恵先生……」
「……笠井さんではありません。なぜなら例の席の最初の被害者の村山さんを笠井さんは知っているからです。そうですね?」
「……うん。二年のときちょっとだけ文芸部にいて……そこで一緒で……」