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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第4章 放課後の呪者


ー翌日ー


あたし達はナルのお見舞いに総合病院に来ていた。
だが困ったことが発生して、あたし達は病室の前で固まる。
病室の名札の所に名前が出ていないのだ。


「名前がない……」

「……ちょっと、ほんとにここ?名前でてないわよ」

「リンがそういってたろ」


事前にリンさんから病室の場所は聞いていた。
ぼーさんは平気そうに病室の扉をノックしていたが、あたしや綾子たちは不安げにする。

間違ってたら謝ればいい。
ぼーさんはそう言ったが大丈夫だろうか……と中に入れば、そこにはナルがいた。


(間違ってなかった……)


それは良かったんだが、一つどうしても気になる事があった。
ナルが黒い服を着ていない……ということである。
そりゃ、病院だから入院服を着なきゃいけないけど見慣れない。


「しばらく入院だって?具合、どうよ」

「たんなる貧血だ。それより人形は?」


ナルはベッドの上に座りながらファイルを手にして仕事中。
入院している時ぐらい、仕事から離れればいいのにとため息が出てしまう。


「言われた通り燃やして灰は川に流した。あとは犯人を捜すだけ……」

「それについては想像がついてる」

「……なに?」

「犯人にはぼくが会って話をつける。今回の調査はこれで終了だ」


ナルの言葉に、あたしと麻衣は顔を見合せた。
つまりナルはあたし達には犯人を教えない……そう言っているのだと驚いてしまう。


「おれたちには犯人を教えないってことか?」

「みんなには関係ない」

「おいおい!すくなくとも、おれは知る権利があるぜ?きっちり依頼を受けてるんだからな!」

「アタシだって、ここでつまはじきなんてジョーダンじゃないわ!」

「ナル……」

「──……ぼーさんはともかく、あとの人間ははずしてくれ」


何故、頑なにぼーさん以外のあたし達に教えようとしないのだろうか。
その事に驚きと微かな苛立ちを覚えている時、病室の扉がノックされた。

麻衣と顔を見合せ、『誰だろう』と呟きながら一緒に扉を開けて、驚いてしまった。


「はい……あ」

「タカ……!」

「笠井さん……」


そこにはタカと笠井さんが立っていた。
タカは手を振り、笠井さんは少し気まずそうにしている。


「入ってもらってくれ。ぼくが呼んだんだ」
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