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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第4章 放課後の呪者


ジョンが駆け寄って来たのと同時に、ぼーさんが起き上がってあたしを引っ張り起こした。
そしてあたしの両頬をその両手で包み込み、顔を至近距離に近付けてくる。


「怪我は!?どこか痛ぇところは!?」

「な、ない……よ!?」


至近距離すぎる。
目と鼻の先にぼーさんの顔があり、徐々に顔に熱が集まり出しているのが自分でもわかる。

ぼーさんは『ホントにか!?』とかなり焦っているが、あたしはそれどころじゃない。
顔が近すぎる。


「ぼー、ぼーさん!顔が近い!!」

「それより、本当に怪我はねぇんだな!?痛いところも!」

「な、ない!ないです!!」

「……なら、よかった」


ぼーさんは息を吐き出すと、疲れたようにその場に寝転がる。


「お二人共怪我はないどすか?」

「へいき、おれも結衣も怪我はねぇよ」

「う、うん。へいきだよ、ジョン。ありがとね」


ちらりと、ぼーさんの背後を見る。
見事に崩れているダンボールの山と資材に、背筋がゾッとした。
もしあれに潰されていたら、大怪我をしていたかもしれない。


「にしても、なんで急にアイツら倒れてきたんだ?」

「わかんない……」

「てか、まずここで何したんだよオマエは」

「……なんか、小さな子の泣き声がしてね……そこに小さい子がいたはずなんだけど……」


いつの間にか姿を消していた。
それを話すと、ぼーさんは起き上がって眉を寄せていた。
ジョンも真剣な目をして、眉を寄せている。


「おい、まさか……お前まで呪詛で呪われてるとか」

「あたし!?なんで!?」

「じゃなきゃ、おかしいだろう……。危険だ、会議室に戻るぞ」

「え!人形は!?」

「それは後回しだ。それよりオマエが大事」


ぼーさんのその言葉に、ドキリとする。
人形とかよりもあたしが大事という言葉に、徐々に顔が熱くなるのを感じた。


(怖い思いはしたけど……なんか、ラッキー?)


こんなこと言えば、絶対に怒られる自信がある。
そう思っていればぼーさんが、あたしの腕を掴んだ立たせてくれた。


「ほら、行くぞ」

「う、うん……」

「会議室にいたほうが安心どすやろう。それにしても、本当に怪我が無くてよかったどす」

「ヒヤヒヤしたぜ……」

「……ありがとね、ぼーさん。守ってくれて」

「どーいたしまして。怪我なくてよかったわ」
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