第4章 放課後の呪者
草むらを探してみるが、やはりない。
手は土で汚れてしまっていて、それを叩いて落としながら立ち上がって背伸びをした。
それより、さっき麻衣とぼーさん達と会った時にナルが陰陽師ではないと話していたらかなり驚いていた。
ぼーさんに至っては『それなのにあんなに態度でかいのか!?』とお怒り。
(まぁ、陰陽師だからあんな態度なんだろうと思ってたのにそうじゃなきゃねぇ……)
やれやれと溜息を吐き出した。
「ほか探そう」
そう呟いた時、何処からか小さな子の泣き声が聞こえた。
「んにゃ?」
何処からするんだろうか。
そう思いながら辺りを探していれば、小さな女の子が蹲っているのが見えた。
彼女の横には山のように積まれたダンボールやら、資材やら色んなものがあった。
ちょっと触れたら倒れそうで危険である。
「ねぇ、君。どうしたの?」
声をかけるが、女の子はただ泣いている。
どうしたのだろうか、何処か怪我をしているのだろうか。
なんて思いながら近づいて行く。
「ねえ、どうしたの、だいじょうぶ?」
「結衣?」
ふと、背後で名前を呼ばれる。
少し驚いて振り向けば、そこにはぼーさんとジョンの姿。
「なにしてんだー、そこで」
「ぼーさん!ここで、小さい子が泣いてて……」
そう言って、正面を振り向けば何故かそこには小さい子の姿なんてなかった。
「……ありゃ?」
見間違い……と思ったが、はっきりとそこに居たはず。
おかしいと思った時、ガサッという音が聞こえて横を見た時だ。
「…………え」
ダンボールと資材があたしに向かって倒れてきている。
ダンボールの中には色んなものが入っていて、それが落ちてきているのがスローモーションで見えた。
当たったら痛そう……と思った時、ぼーさんの叫ぶ声がした。
「結衣っ!!!」
あ、当たる。
そう思った時、目の前にぼーさんがいて彼に抱き締められたまま倒れていく。
(あれ?)
地面に倒れた。
その次にジョンの叫ぶ声と共に、ダンボールやら何かが落ちた音が聞こえた。
「……へ?」
あたしは、何故かぼーさんに抱きしめられる形で地面に倒れていた。
視界の端には彼の金髪が揺れていて、目を見開かせる。
「結衣さん、滝川さん!だいじょうぶどすか!?」