第4章 放課後の呪者
「だーかーらー!ナルは陰陽師でしょ?とくにジャマってわけで」
「ナルに呪詛を!」
「……ちょっと待て。ぼくがなんだって?」
「「陰陽師」」
「なんでそうなるんだ」
この反応、なんだろうと首を傾げる。
まるでナルは自分が陰陽師じゃないと言いたげで、あたしと麻衣は顔を見合わせた。
「……ちがうの?」
「陰陽師じゃないの……?」
「ちがう」
あたしと麻衣は目を見開かせた。
「──だっ、だってこないだの事件のとき人形使ってたじゃない。陰陽師じゃないとできないことだってぼーさんが」
「あれを作ったのはリンだ」
「リンさん!?」
「……え?……アレ?じゃあ、リンさん……が陰陽師……?」
「そんなものだな」
あたしと麻衣はガックリと項垂れた。
まさかナルは陰陽師ではなく、リンさんがそうだったとは思っていなかったし、見事な勘違いである。
「そんな誤解を犯人がするはずかない。……かりにぼくがそうだったとしても知る方法があると思えないし……」
「──あたしと結衣、いっちゃった」
「うん……ナルが陰陽師だって……笠井さんに……」
沈黙が流れる。
「と、いうことは──」
「……笠井さんが犯人の可能性がまた高くなったってことだよね。でも……たとえばだけど、自分でも知らないうちに──無意識とかで呪詛を行うなんてことは……」
「ありえないだろうな。とくに厭魅では」
「……じゃあ、やっぱり笠井さんは犯人じゃないよ。そんなことする人じゃないって思うんもん」
「話してたら分かるよ……笠井さん、そんな事する人じゃないって」
笠井さんが年相応に笑う姿を思い出す。
あんな風に笑う人が、あんな風に話す人が厭魅なんてするはずがないとわかる。
「……いいだろう。もう一度だけ麻衣と結衣を信用してみよう。──ただし、つぎに彼女が犯人だと暗示する証拠が出てきたら承知しないぞ」
「あ、ありがとう!ナル!」
「ぼくは調べものをしてくる。麻衣と結衣はみんなを手伝って人形をさがせ」
「りょーかい!」
「ラジャりました!」
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あたしは麻衣と別行動で人形を探していた。
二人で行動するより、別々に探した方が見つけやすいかもしれない……ということで。
「うーん、ないなあ」