第4章 放課後の呪者
『……笠井さんのクラスって、もと陸上部が多くてずいぶんいじめられてたみたいだよ』
タカの言葉で、あたしと麻衣は相談された際の依頼書の紙を見直していた。
そしてある事を麻衣が発見した。
「……やっぱり!陸上部の顧問て車に幽霊がでるって事故おこした先生だよ」
「高橋さんのいってた反笠井派の人間は──全員被害にあっている。これで笠井さんが犯人である可能性が高くなった」
「なっ……」
「そんなっ……」
確かに、ナルの言う通り笠井さんが犯人である可能性は今までの話で高くなってしまった。
だがあたしと麻衣は笠井さんが犯人ではないと、わかっているのだ。
ナルは信用するといった。
それなのに……と思いが強くなってしまった。
「そんなこといったら産砂先生は?いいたかないけど先生にだって動機はあるよ!?」
「そーだよ!産砂先生だって批判されたりしたんだよ!?」
「呪詛というのはだれがやっても成功するわけじゃない。あらかじめ要素がないと」
「……超能力があるとか?」
「そう。本格的な修行をしたことがあるか──」
突然、ナルが言葉を途切れさせた。
黙ったかと思うと、顎に指を当てて何かを考え出している。
「……どしたの?」
「ナル……?」
「──……いや……」
一体どうしたのだろうと首を傾げる。
ナルは度々、何かを考えると黙り込んでしまう。
「それにしても、なぜぼくにまで呪詛が?」
「そんなの簡単な理由じゃん!ジャマだからだよ」
「そうそう。ナルがジャマだからじゃない?事件を解決にきたんだもん。犯人が“ジャマ者は消せ!”っと」
「だったらぼくら全員にかけるべきだろう」
「「そっか」」
確かに、犯人にしてみれば解決しにきたあたしたち全員が邪魔はずである。
なのに呪詛をかけたのはナルだけとなると……ナルがジャマだからという理由じゃなくなる。
なんて考えた時、ある事を思い出した。
呪詛は陰陽道であり、ナルは陰陽師ということを。
「陰陽師だ!」
「そーだ!それ!呪詛って陰陽道なんだよね?ってことは陰陽師は呪詛を破れるんじゃない?だからだよ!」
「だからナルが邪魔になる!」
「……日本語を話せ」
ナルはあたし達が何を言っているか分からない……と言いたげな表情を浮かべていた。