第5章 嫉妬
私は性格が悪いなと自嘲した。
自分から距離を置こうとして酷い態度をとったのに、彼にはそうして欲しくないと願う。
本当に自分勝手でバカだな...。
「なんでそんななってんだ?」
あんな仲良かっただろと、いつの間にか近くに来ていた先輩に話しかけられる。
俯いて自分が悪いと答える。
涙は我慢した。
「嫉妬して酷い態度をとってしまって...そしたらこんな感じに...。」
顔を上げて笑う。
別に笑わなくてもいいのに、涙を隠そうとすればする程笑ってしまうのだ。
それでも、謝っているのに副隊長は許してくれないのかと、先輩たちは疑問を述べる。
きっと呆れているのだろう。
妬いても仕方のないことに妬いている。
彼の...副隊長の立場を否定しているようなものだろう。
宗四郎さんが特定の関係を築いて来なかったのは、このことも関係あるのだろう。
仕事で忙しくて構うことが出来ず、せっかく一緒にいる時間を作れても呼び出されて、その時間はなくなる。
それに耐えられなくなった相手と関係を続けることが出来なくなった。
社会人ではよくあることだろう。
それが、彼の場合、他よりも少し多いだけ。
私は同じ防衛隊なのに、それを理解してあげられなかった。
彼女でもないのに縛るようなことをしてしまった。
彼に対して、少しでも仕事に対しての不満を言ってはいけなかったのだ。
宗四郎さんにとって、この仕事は...ここの副隊長であることは、何よりも大切なことなのだろう。生きがいなのだろう。