第5章 嫉妬
あれから1週間経ち、関係は悪化している。
勤務時間は普通に話しているのだが、それ以外は宗四郎さんは捕まらないし、運良く話しかけられても素っ気なくされる。
私が悪いのはわかっているが、寂しい...。
元々危うい関係だったのだ。
なのにあのようなことをしてしまえば、何もなくなってしまうのは当たり前で...。
お風呂上がり廊下を歩いていると、日比野先輩と市川くんに声をかけられた。
「最近元気ないですね、大丈夫ですか?」
市川くんに笑顔で大丈夫だと答えるが、全然笑えてないと言われてしまった。
先輩がもしかして俺のせい!?とアワアワしている。
その突拍子もない行動に思わず笑みを零した。
ありがとうございますと言うと、混乱させてしまったようだ。
2人と笑っていると視線を感じてそちらを向く。
赤紫の瞳と視線が交わる。
すぐにその瞳は瞼に隠れて、そのまま視線を逸らして行ってしまった。
急いで追いかけて、背中から抱きしめるように縋り付く。
「ごめんなさいっ!ごめんなさい、ごめ......。」
「離しぃや、まだ仕事残っとんねん。」
その言葉を聞けば、離したくないのにすぐ離さなければいけない。
腕の力を弱めると、するりと私の腕から抜け出し、私のことを一度も見ずに行ってしまう。