第5章 嫉妬
仕方ないと頭ではわかっているのに...私を置いて他の女の人のところに駆け付けるのが、すごく嫌だ。
泣きそうになりながら、寮までの道を辿る。
寮について静かに布団に潜り目を閉じるが、眠れるはずもなかった。
目を閉じて少し経った頃、スマホが震えて光る。
見てみると、《戻ったんか?》というメッセージがきていた。
そのままそのメッセージを開かずにスマホを置いて、また目を閉じた。
わかっている、彼を責めるべきではないと、仕方がないことなのだと。
それでも嫌だった、彼を愛しているから...。
昨日の小此木さんも、しなくてもいい確認をわざわざしたのだ。
小此木さんに直接、緊急だったのか聞いた。緊急ではなかった。
緊急ではなくても行かなければならない、私もそれはわかっているのに......。
これ以上、嫌な感情を抱く私でいるのが嫌で、そのまま眠ってしまおうと考えるのをやめた。
朝になり、食堂でご飯を食べていると声をかけられる。
「おはよう。」
みんなで立ち上がり敬礼をしながらおはようございますと答える。
声をかけてきたのはもちろん副隊長だ。
正直、すごく気まずい。返信をしていないから...。
どうやら、他にも空いている席を見つけたようなので、そちらに行こうとするとみんなが引き止めて、私の隣を空け、そこに座らせる。
やめてくれ......。
大丈夫、今は副隊長として接してくれるだろう。
思った通り、メッセージを無視していることには振れられずに朝食の時間が終わった。
食べてる間も私からは話しかけずに、返答も素っ気なくなってしまっていた。