第5章 嫉妬
演習場につくと外壁に副隊長の姿が目に入った。
外壁に登り少しみんなの訓練の様子を視界に入れながら副隊長に話しかける。
「副隊長、お疲れ様です。」
「っ!三浦?お前もうええのか?」
少し驚いたように答える彼に少しだけなら…と答える。
「一緒に見とくか?もう少ししたらトレーニングルームに行く予定やから、その時一緒にやろか?」
笑顔で聞かれたので私も笑顔でお願いしますと返した。
訓練をするみんなに視線を移し、とあることに気付く。
「市川くんや古橋くんはもう復帰してるんですか?」
「おん、昨日から戻っとるで。」
2人の姿を見付け、私と同じくらいの重症だったのに…と自分の回復の遅さに眉を顰めた。
しかも私はまだあんなに動けない。
そんな2人やみんなのことを見ながら、声量を落とし副隊長に話しかける。
「つけましたよね、痕。見えるとこに…。」
「今その話するんか。そっちの話なら夜に聞いたる。」
そうだった、今は勤務中だ。
副隊長も声量を落とし、少し低い声で注意をした。
その声にやってしまったと思い謝る。
それから少しすると副隊長はみんなに声をかけ、トレーニングルームに移動する。
副隊長の少し後ろを歩いていると、後ろからキコルちゃんに話しかけられた。
腕を引かれ後ろに下げられる。
ほんの少しだけ振り返り薄く開かれた瞳と目が合ったが、それに気付いたのは私だけだろう。
すぐに前を向き普通に歩き続ける。
私も視線をキコルちゃんに戻した。
「もう怪我は大丈夫なの?それと、あのチャットどういうことよ。」
「その話は後からでもいい?怪我はまだ少し痛むけど大丈夫だよ!ありがとう!」
しょうがないわねと納得してくれたので、後でお風呂に入ってる時にでも話そう。
たぶんみんなにも話さなきゃいけなくなりそうだから…。