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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第5章 嫉妬


病室につくと、傷口に負担がかからないよう副隊長に補助をしてもらいながらベッドに座った。


そのまま座った状態のままでいると、彼は私の身体の横に手をつき、もう片方の手は私の頬を撫でる。


「キス、してええか?」


顔が近付き、2人の視界が交わる。


唇にだろうか?
だとしたらそれは…。

前に彼は、好きな人としかキスをしないと言っていた。
もし唇にキスをしてしまったら、それは…好きと言ってるのと、同義ではないのか…?


返事が出来ずにいると、だんだんと副隊長の目に熱が籠り始める。


どうしよう…してしまいたい。


「返事せぇや。」


「……好きだから、するんですか?」


私は本当にズルいと思う。

お互い言わないと決めたのに、言わせようとしている。


彼は眉間に皺を寄せると、おでこを私の肩につけた。
体重はほぼかかっていない。傷口に負担がないようにしてくれているんだろう。


「そうやった。好きな子にしかキスせぇへん言うたんやったな。なんで言うてもんたんやろ、自分…。」


少しの悔しさを滲ませた声を聞いて、後悔してしまった。
なにも言わずに受け入れてしまえばよかったと…。
私だってキスをしたいんだから。


いっそのこと、私からしてしまおうか。
私は好きな人としかキスしないとは言っていない。


肩にあるさらさらな髪を撫でる。


「キス、してもいいですか?」


「っ…は?………いや、せぇへん。ここでいい言うたら、同じやんけ。」


少し考えてそう彼は答えた。

確かにそうか。
してもいいって答えたら、好きということになる。

なんでわざわざ聞いてしまったんだ…。
無理矢理私からしてしまえば、ただキスした"だけ"になるのに…。

そんなこと考える余裕もなく欲してしまっていた。


もう私は覚悟が出来ている。
好きな人と一緒にいることが一番の幸せだと教えてもらったから。
好きだと言える。
でも、彼が望まないのなら、溢れないようにいつまでも抑え込もう。

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