第16章 10号
「ん〜〜かっこいいっ!好き!!」
「ふはっ!あははっ、なんや、今日どしたん?」
たまに副隊長オタクが出てきてしまうのは許して欲しい。
いつも抑えているのだから。
片手で前髪を押さえてもう片方で頬に触れ、額をくっつける。
もう少しそのイケメンオーラを抑えて欲しいと至近距離で見つめながら言うと、笑って閉じられた瞳がまた出てきて真っ直ぐ私を見つめたまま、イケメンなんやからしゃーないやろ、と言った。
普通だったから、こんなこと言われたら引いちゃうんだろうな。
この人は本当にイケメンだから仕方ない。
「なぁ…今日家帰るつもりなんやけど、一緒に来うへん?意味わかるか?」
「行く…わかる…。」
誘われてる…だって、その瞳が熱を孕んで私を見ているから。
彼は微笑むと顎を少し上げてチュッとキスをした。
休憩は終わりだと言われて、またあの地獄かと思い眉を下げた。
「はははっ、今度は優しゅうしたるから。」
額を離して手も離すと彼は立ち上がり、手を差し出してくる。
その手を握って立ち上がり、演習場へ向かった。