第16章 10号
宗四郎さんは私を着替えさせると、ちょっと待っててと言って部屋を出ていった。
少しすると戻ってきて、冷たいペットボトルを頬につけられ、ビクッと身体を震わせる。
水だ。
今買ってきたんだろうか。
ありがとうと言いながら受け取り、キャップを開けようとしたが、力が入らなかった。
すぐに宗四郎さんが開けてくれたので、口をつけて喉を潤す。
そのまま少し保管室で休んでいると楽になってきたので、ご飯を食べる為に食堂に向かう。
私は昼から食堂を使ってもいいそうだ。
第3部隊所属になったからと。
普段の訓練よりハードすぎて、すでにもう疲れきっていて食欲がない。
こんなんじゃ、実戦で着させてもらえない。
宗四郎さんが持ってきてくれたご飯に手をつけようとすると、あかりちゃんやハクアちゃん、ここに残っている同期たちが声をかけてくれる。
今日からまた第3部隊にお世話になることを伝えると、みんな喜んでくれた。
「君らも美影に負けへんように気張れや。僕は負けそうやけど。」
おちゃらけて話す彼にみんなが驚く。
副隊長が負けそうと言っているのだ、そりゃあ驚くだろう。
みんなと話していると、ちゃんと箸を動かせと言われたので、なんとか食べ進めていく。
そのまま食べていると、隣のお盆はすでに空になっていた。
もう入らないと思い箸を置く。
「あかんでー、食い終わるまで立たせへん。」
本気で言っているのか…。
少しお盆を寄せて、すぐ横で頬杖をついて見てくる。
そんな彼を見て、眉間に皺を寄せた。
「睨んでもあかん。午後持たへんで。」
「睨んでないもん…。」
「ほう?言い返してくる元気はあるようやな。ほんなら、食えるな。」
鬼…。
副隊長の監視の目がすごいので、なんとか食べ切り手を合わせた。
ええ子やと頭を撫でて、私のお盆を片付けてくれた。
飴と鞭の差がすごい…。
戻ってきた彼が少し休もかと声をかけてくる。
みんなと話してきてもいいかと聞くと、副隊長室で事務仕事をしていると言っていなくなった。
休み時間なのに仕事するのか…。