第13章 指輪
「ついたらいっぱいえっちしよな?」
「うん。………え?」
ボーッとスマホの画面を見つめながら、何気なく返事をしてしまった。
クスクス笑う彼の頭を軽く叩いた。
「ふふっ、いっぱいしよな?」
声を押さえて笑う彼を見て、彼の発言はよく聞いてちゃんと考えて返事しなきゃいけないと悟った。
ばかと呟いて、彼の頭に預けた頬を強めに擦り寄せた。
痛いやんと笑う彼に頬を擦り続けると、私も痛くなってきてしまったので、やめて乱れた彼の髪を直す。
どうやら空港についたようなので降りて、そのまま荷物が多い為ホテルに向かった。
連れて来られたホテルにつき、チェックインをするから待っててくれと言われたので、彼からは離れずに周りを見渡す。
高そう…一番に思ったのはこれだった。
ホテル等は全て彼に任せてしまったので、このホテルの値段がわからない。
半分払わせてくれと言っても、首を縦には振らなかった。
美影にいっぱい金使いたい言うたやんと言われてしまったので、それ以降は何も言えなかった。
チェックインを済ませた彼が、私の手を引いてエレベーターに乗る。
値段を調べるのもやめた方がいいだろう…と、機嫌よく笑っている彼を見てそう思った。
荷物を部屋に置くと、ご飯は朝しか頼んでないから食べに行こうと言われる。
そのまま彼について行き、これまた高そうなレストランでディナーをご馳走様になった。
もしかして、こっちにいる間、全部払う気なのか?
電車を降りてホテルへの道のりを歩く。
「全然観光させてあげれんくてごめんな?」
「ううん、遊びに来たわけじゃないから大丈夫だよ。」
明日の夜までには第6部隊へ行かなければならない。
保科宗一郎さんはだいぶ性格が悪いと聞いたが、どうなんだろうか…。
隣を歩く弟からの情報なので、よくわからない。