第9章 決断
ベッドの前に、宗四郎さんに後ろから抱きしめられる形で座った。
「傷、付いてたな。シバかなあかんな。」
さっきまであんな話をしてたのにいきなり何を言い出すかと思えば…。
大丈夫だからやめてと頬を彼の腕に擦り寄せる。
「あーやっぱ、なんぼ忘れよ思ても、ムカついてまうわ。嫌やぁ…僕以外が美影の身体知っとんの…。」
ギュウと抱きしめられて、少し苦しさを感じる。
「私の、き、気持ちいいとこ知ってるのは、宗四郎さんだけだよ…。あの時も来てくれて嬉しかった。」
あの時?と聞き返されたので、西野先輩のことだと答えた。
あの時も宗四郎さん見つけてくれてなかったら、そのまま最後までさせれていたかもしれない。
「ほんま君、モテすぎやて…僕がいるからそんな来うへんかもしれんけど、変な奴はすぐああいうことする。」
好きや好きやと何度も呟きながら、項にキスを落とされる。
擽ったいと言っても、やめてくれるどころか舐め始めた。
身体が反応しそうになりがらもなんとか耐えた。
「愛しとるよ。」
「あっ……んぅ…。」
耳元で囁き髪を寄せて、耳の上側を食んでそのまま耳輪を舌でなぞりながら下に行き、耳たぶを食んでくる。
ここでこの雰囲気はダメだと思い、顔を押し返した。
痛いねんけどと言いながら軽く睨んでくる。
彼の顔を押さえたまま時計を見ると21時になりそうだったので、もう行こうと彼の手を引いた。
鞄を持って玄関まで行くと、母と妹が見送りに来てくれたので、またねと手を振って扉を開ける。
「また来ます。」
宗四郎さんもそう言って外に出た。