第7章 立川基地襲撃
「っ!!ふくたいちょおおおおお!!……いや、いやぁあああっ!!」
殴られた副隊長は何棟ものビルを打ち壊し飛んでいく。
飛ばされた彼をすぐに追いかけた。
砂煙が晴れていく中、俯き座り込む彼がピクリともしないままそこにいた。
嫌…早く顔を上げていつものように笑って…。
一歩、一歩ずつゆっくりと彼に近付いていく。
早く彼に触れたいのに、彼を失う恐怖で身体が思うように動かないのだ。
やっと彼の前に辿り着き、膝をついて手を伸ばす。
「大丈夫、生きとんでぇ。」
頬に触れそうになった時、彼は顔を上げた。
笑っていた。
彼の顔は血だらけだった。
全て彼のものだろう。
壁に背をつきながら立ち上がる。
今は泣いてはならないと目頭が熱くなるのを振り払い、フラフラとまた怪獣の元へ行こうとする彼の道を開けるように退いた。
血がポタポタと垂れる。
「ほんまにお前は…来るな言うたやろ。……けど、正直助かったわ。アレを相手にするんは、僕だけじゃきつい。援護頼むで!」
怒られると思っていたが、副隊長は明るい声でそう言いながら、顔だけを振り向かせて笑っていた。
「怪我、酷いんじゃないんですか?これ以上は…。」
私の問いには答えずに、小此木さんに戦況を聞きながら怪獣と対峙する。
仕方ないか…隊長不在の今、あの怪獣の相手を出来るのは副隊長だけだ。
私も副隊長も大型相手は苦手だが、そんなことは言っていられない。