第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
“明日、お昼13時ごろ別棟一階の稽古室にしよう。おやすみ。”
ーー…おやすみ。
夜遅くお風呂に入って部屋に戻ると点滅していた携帯。
開くと夏油先輩からだった。
ーー…おやすみ。
何度も目に入る四文字に、お布団に入ってにまにましていた。
私は携帯を握りしめ、明日の稽古を楽しみに眠りについた。
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翌日。
私はジャージを着て、稽古室にきていた。
「早いね。」
「あ、夏油先輩。今日はよろしくお願いします。」
「うん。」
休みの日だから、今日もラフな格好に珍しく髪の毛を後ろに縛るだけの格好で、少しドキッとしてしまった。
「寝坊しそうだったよ。」
くわっとあくびをしながら言う夏油先輩が珍しい。
もう13時なんだけど。
昨日あのあと五条先輩とまだ話してたのだろうか。
「私たちが呪霊同士戦わせても仕方ないから。私が適当に呪霊を出すから、それに合う呪霊をさんは出してみて。」
「わかりました!」
「うーん。もう少し早く出さないと。」
「は、はいっ!」
「その間に私の呪霊がさんを食べちゃうよ。」
「はいっ!」
ぐわっと口を開けた夏油先輩のデカい呪霊を避け、私は手を出した。
私も大きな呪霊を出した。
「祓っちゃダメだよ。私を守るだけ。」
【わかった。】
頭の中で聞こえてくる、私の呪霊の声。
私の呪霊は契約をして手伝ってもらってるって感じなので、使役とは違う。
私が指示を出さないといけない。
「ほら。次。」
「はい!」
さっきいた呪霊とは違って、ぬーっと出てきた霞んで見える呪霊。
何だろう。あれは何の呪霊だろうか。
夏油先輩が出した呪霊に対し私はどんな呪霊を出せば正解なんだろう。
「遅いよ。」
「…っ!」
考えてちゃダメなんだ。
咄嗟の判断と決断力。
それが遅れると言うことはーー…
「じゃないと、死ぬよ。」
霞んで見える呪霊から、手が出てきて私の後ろから爪を私の首に当ててきた。