第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
「何。俺が酔っ払い片付けてる間にベッドでキスしようとしてんの。」
「うわぁぁ!!」
「何言ってるんだ、悟。」
「お、おかえりなさい。五条先輩。ななみんをありがとうございました。」
私は立ち上がって誤魔化した。
キスなんてしようとしてない。
そんなこと断じてない。
ちょっと目が離せなかっただけだ。
「明日、呪霊操術の練習しようと思ってね。」
「あー、オマエら似てんだっけ?」
「あぁ。」
「傑は意外と手が早いから気をつけろよ。」
ニヤッと笑って五条先輩が私のおでこに指を当てた。
「悟っ。そんなんじゃないって。」
「はい。この前の組み手とかみてスピードは知ってます。明日たくさん稽古つけて貰います!」
「…。」
「…。」
私が拳をつくって言うと、五条先輩は声をあげて笑った。
「あっはは!手強そうな女!おもしろ!」
「悟…失礼だよ。さん。じゃあまた明日ーー、あ。連絡先交換しとこうか。」
急に言われ、私は慌ててポケットから携帯を取り出したら、五条先輩に携帯を奪われた。
「あっ!」
勝手にカチカチと入力していく五条先輩を、私は不服そうに睨みつけたが、気にせず勝手に弄っていった。
「傑ー、ハイチーズ。」
仕舞いには2人でツーショットまで撮りやがった。
「はい。返す。連絡先傑のと俺のと入れといたから。」
「…ありがとうございます。」
携帯をパカっと開けると、待ち受けが手前にデカデカと五条先輩、その後ろに少し微笑む夏油先輩がうつっていた。
「あー、もう!」
「これ幸運の画面だから。」
「確かになんか色々引き寄せそう。なんでも…」
不幸も事故もハプニングも幸せも。
私は今すぐ画面を変えることを諦めてポケットにしまった。
「じゃあ、私も部屋戻りますね。」
「気をつけて。」
「夏油先輩。明日よろしくお願いします。ありがとうございました。」
「うん。連絡するね。」
「五条先輩も、歓迎会ありがとうございました。ご馳走様でした。」
「…おぅ。じゃあな。」