第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
「仲、良いもんね。」
耳が熱くて爆発しそうだ。
「ほ、惚れてませんっ!」
「そう?」
「仲良くもありません!」
「はは。」
私の必死な言葉も、流される様に笑うその夏油先輩の笑顔。
「でも、“五条悟”ってわかって態度を変えなかったさんを、悟はきっと気に入るだろうね。」
私の手からゴミ袋をとって、まとめていく夏油先輩の優しさ。
「…でも、私。」
「ん?」
「五条先輩にはそうだったかもしれませんが、夏油先輩には“呪霊操術”ってわかって態度を変えちゃいました。」
私はしゅんとうつむいた。
「…。」
「ただ、五条先輩に興味がないから態度変えなかっただけで、別にそんないい人ってわけじゃないです。」
「それはーー、逆に私に興味があったってことでいい?」
「……っ!!」
顔に熱が集まって、私は慌てて顔を隠した。
「あはは、ごめんごめん。」
「…せ、先輩っ!」
「さんは、私の術式と似てるからね。興味あるのは当たり前だよね。ふふ。」
そう言って、夏油先輩は部屋の端にある自分のベッドに腰掛けた。そして、自分か横をポンポンと叩いている。
ーー…え、横に座れってこと?
エクレアをあーんってさせようとしたり、ベッドに横に座らせようとしたり、夏油先輩はそのあたりは無自覚、鈍感なのだろうか。
私は横にちょこんと少し距離をあけて触った。
「明日は学校休みだよね。」
「はい。」
「じゃあ、一緒に訓練しようか。」
「いいんですか!?」
私は嬉しくて、夏油先輩を見上げた。
お互い座っていても、夏油先輩のほうが圧倒的に視点は上の方だ。
夏油先輩もじっと私を見下ろしていた。
たった3秒ーー…
だけど、その3秒がとても長く感じた。
吸い込まれそうなほど、優しい瞳。