第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
無下限について聞いてみたりするついでに、私は夏油先輩にも術式について色々質問をしていた。
そろそろお開きになる雰囲気だ。
私はゴミやらを袋に詰めながら夏油先輩をチラリと見た。
無下限術式ももちろん知ってる。
確かに白髪男…もとい五条先輩がそうなんだとは思いもしなかったけれど、私には呪霊操術の方がすごいと思ってしまう。
「おーい、硝子起きろよ。」
最終的には、硝子先輩もななみんの横で眠ってしまっていてお酒組2人は気持ちよさそうだ。
でもここは夏油先輩の部屋だし、そろそろ起きて貰わないと。
「ななみん。起きて。」
近くにしゃがんで、ななみんの肩に触れた。
頬をつついたり、頭撫でたり。
「仕方ない、僕がななみん抱えます!」
ゆうがななみんの肩に手を回そうとしたら、ふわっとういた。
「いいよ。俺が運んでやるから。」
手をポケット入れたまま、硝子先輩とななみんを簡単に浮かせていた。
「灰原、七海の部屋の場所教えろ。」
「あ、じゃあ私硝子先輩の部屋を…」
「いい、知ってるから。」
ーー…女子寮知ってるんだ。
まぁ3人ずっと一緒だもんね。
と、驚きつつ、4人を見送った。
あれ。夏油先輩の部屋で2人だ。
そんなことどうでもいいよね。夏油先輩は気にもしない。
私はみんなが飲んだ缶ジュースを流しで一つ一つ洗い、袋に入れていった。
「ジュースなのにすごい量だね。」
「…ホントですね。こんな量、頂いちゃって。ご馳走様でした。」
「発案は悟だし、お金も全部悟持ちだよ。」
「そうなんですか?」
手を止め、横にいた夏油先輩を見上げた。
「口悪いけど、後輩は気に入ってるみたいだね。お金は有り余ってるからむしろ使いたいんだよ。五条家次期当主だし。」
「わかりづらい先輩ですね。」
優しいんだか、意地悪なんだか。
ゴミ袋をぎゅっと結んでいると、夏油先輩の指先が私の耳に触れてきた。
「…っ!?」
「耳、さっきから赤いけど、もしかして悟に惚れちゃった?」