第1章 私の恋 夏油傑 (出会い編)
顔のクリームをとって、同じように夏油先輩の横に座ると、またエクレアを差し出してくれた。
「も、いいですっ!」
「いいの?食べれてないでしょ。」
おや?って感じの表情をされても困る。
「俺のプリンのあーんよりハードル高くね?エクレアのあーんって。」
「そう?私は気にしないけどな。」
ーー…私は気にしますっ。
「白髪男のコーヒーゼリー貰うので大丈夫です。」
「あ゛?てかなんだ名前しらねぇの?」
「悟先輩ってことしか知りませんよ。」
「お、おう…」
「名前呼ばれて照れんなよ五条。ていうか、私は何回か呼んだよの前でも。」
硝子先輩に言われて私は思い出そうとしたけど、どうやら聞き流してしまっていたらしい。
「、知らなかったの!?有名なのに!五条悟先輩!」
向かいに座っていたゆうが叫んだ。ゆうの横にはいまだにななみんがすやすや眠っている。
「五条悟!御三家嫡男!無下限術式と六眼持ちの奇跡の術師!彼ほど呪術界に影響を与えてる人はいないよ!」
ばーーーーっと説明されて私は引いてしまった。
説明された本人は、サングラスをくいっとあげ、ふっと笑っている。
「…へぇ。」
「へぇ!?」
ゆうが身を乗り出し私の返事への不安をぶつけた。
「あ、いや。情報量多すぎて…。私には黒板消しの先輩としか。」
「どんまい、悟。第一印象悪すぎなんだよ。」
「かー、これだから一般家庭出身者は。俺の凄さがわかんないかねー。」
「私だって一般家庭だよ。私も五条家のことは知らなかったさ。」
残りのエクレアを口の頬張り夏油先輩が笑っていった。
「あ、だからいつもサングラスなんですね。」
「そーだよ。」
「カッコつけてるのかと思ってました。」
「てんめっ。」
急に殴るように右手を突き出したかと思ったら、コーヒーゼリーを私に差し出した。
「…いいんですか?」
「やる。買ってきてくれただろ。エクレア悪かったな。」
「…ツンデレ。」
「硝子!うるせぇ!」