第6章 二人?でアオハル
別に触れているわけではないのに、なぜか暖かく感じた。
「すごーい。」
「具現化してるわけではないから、は私の呪力に触れることはできないよ。」
「でも、なんかあったかい。」
「まさか。」
くすくすと笑う傑さんに、私はムッとして続けた。
「ほんとだよ。カイロみたいにあたたかいもん。」
「…温度をいじってはないのだけどな。」
「じゃあ、性格とか根本的なものなのかな。傑さんの優しい感じがする。」
傑さんの手に触れながら、そういうと傑さんは少し驚いた様子だった。
ぽかぽかと太陽みたいな感じの呪力だ。
「…タラシだな。」
「え?」
「いや。」
傑さんは私から手を離すと、手から呪力を消した。
「今の感じで、も呪力を手に集中するのを目標にしよう。」
「…できるかな。」
「もし、の呪力に呪霊を消す効力があるのだとしたら、強い呪霊が来た時、手に集めて攻撃することが出来るかもしれない。」
「うん。」
自信はないけれど、もし襲われた時に自分の身を守る術はあった方がいい。
私は自分の両手の平を見つめた。
「安定させるというより、身を守るためだから突発的に手に集中できるようにしておこう。」
「はい、先生。」
「…先生と呼ばれることがないから、なんだか気恥ずかしいな。」
「でも、先生っぽいのは悟さんより傑さんだよね。」
「そうか?」
「うん。真面目で優しくて模範的なの。これぞ先生って感じ。悟さんは…うーん、なんだろ。ヤンキー漫画に出てくる生徒に寄り添う変な先生かな。」
「なんだそれ。」
口元に手をやり、くくっと笑う傑さん。
「でも、悟は強い呪術師を育てることに力を入れてるから、熱心なのはアイツだよ。」
「へぇー。」
「…仲間が死んでいくのを減らしたいんだよ。」
眉をへにゃと下げ、儚く言う傑さんに私は自分の手をもう一度見つめた。
「私のこの変な体質…もっと理解したら役に立つかな。」
「……きっとね。」
「頑張る…。傑さん、呪力の扱い方…教えて。」