第5章 二人でアオハル
「おまたせー。」
ものの30秒。本当にすぐだった。
悟さんは再び5階の窓から入って来た。
手には何かちっこいものがもぞもぞ動いていた。
私がよく見ようと凝視していると、悟さんが見えやすいように私の目に呪力を当ててくれた。
目は一つ。
手は6本で、ジタバタ動いていて、口からは涎が垂れ、ぎゃーぎゃーと叫んだいた。
「ひぇ。」
小さな猫みたいな生き物って思っていたけど、こんな見てくれだったんだ。
「とっても小さな呪霊だよ。」
「う、うん。」
「、近づいてみて。大丈夫、噛みついたりさせないから。」
私がその呪霊を見ると、呪霊はピタリと鳴くのをやめた。
じっと私を見ている。
「…目が合うのは初めてだな。」
私はそう言って、そっとその子に手を伸ばした。
とたん、呪霊は目を閉じて、空気中に流れていくように消えていった。
「…あれ?どこ?」
「傑。」
「あぁ…。」
私がキョロキョロとしている横で、真剣な表情の二人は顔を見合わせていた。