第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「えっ!?」
「そうなの?。」
傑さんも医務室のベッドに腰掛け、私を見つめた。
「…えと………はい。」
「へぇ、よかったね。」
「必死に逃げてる時に、私に傷をつけたら悟さんがきっと駆けつけてくれるって咄嗟に思って…その時、呪いで私の心臓が悟さんと繋がってたって思い出したんです。」
「あー、そういえば二人の出会いはそれだったね。」
くくっと笑う傑さん。
「そうしたら、一気にぶわって思い出して…。」
「さっき、五条のことを『さとる』って呼ぼうとしてもしかしてと思ったんだ。もう、五条には言ったのか?」
家入さんの問いに私は首を振った。
「バタバタしてて、まだ…、でも…なんか……都合よくないですか?私…」
「いいでしょ。それとも思い出して悟のこと好きじゃなくなった?」
「それはないです!」
傑さんに言われて、それだけは違うと否定した。
心臓が繋がってた時も、呪いが解けた後も、ずっと悟さんは私を守ってくれていた。
ずっと私を思ってくれていた。
「酷いこと…言ってしまったから…」
私はうつむいた。
「悟さんに、宿儺の話をたくさんした。それに、千年前の阿曽巫女の記憶はまだあるの。消えたわけではないし、宿儺のことも覚えてる…。」
五条さんが好きだったって記憶が戻りはしたけれど、本当にそれで全部元通りにしてしまってもいいのだろうか。
家入さんと傑さんは顔を見合わせた。
「だから、私ちゃんともう一度好きですってきちんと伝えるべきかなって。」
記憶戻ったよ!はい恋人に戻ろうね!
って、あまりにも悟さんの気持ちを軽んじてる気がして。
「がそう思うならそうしたら……」
「いや、待て。」
家入さんの言葉を傑さんが遮った。
にっこり笑ってる。
「いいこと思いついた。、もう少し記憶戻ってないフリしてよ。」
「夏油……それは、いい案だ。」
悟さんの同級生ふたりは、にーーっこりと笑って私を見た。