第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「口閉じて。」
「はい。」
椅子に座り、家入さんは私の顔に手をかざした。
「触られてないと言っても怖かったでしょう。」
「……。」
口元が温かくなり、一瞬で傷が消えた。
私はそこに触れようとしたけど、家入さんが私の手を取った。
「手首も…」
そう言われて初めて気づいた。
両手首を押さえつけられた時についた手の跡。
赤くなってあざになっていた。
綱手川さんに床に叩きつけられ、押し倒されたり時のだ。
必死で気づかなかった。
「服、私のシャツを着るといい。」
白いロンTを出されて、私はベッドに座り、破れた服を脱いだ。
「ありがとうございます。」
「未遂と言っても、心に傷が残る人は多い。何かあればすぐに相談においで。」
「さと…五条さんが助けに来てくれたから、本当に大丈夫なんです。意外と平気。」
服を着て、カーテンを開けて言うと家入さんは優しく笑ってくれた。
五条さんの上着を畳み、ぎゅっと抱きしめた。
「今日はどうする?寮で寝てもいいし、なんなら医務室のベッドを使ってもいい。」
「大丈夫。ハクとまたのんびり阿曽に帰ります。」
「…大丈夫か?」
「はい…あ、でも上着を五条さんに返さなきゃ。あとお礼をちゃんと言いたい。」
私がそう呟くと、医務室がノックされ、傑さんが顔を覗かせた。
「平気?悟から何度もメールがきて、の様子聞かせろって。」
「もう大丈夫です。傷も全部治して貰いました。」
ぐっと握り拳を作って言うと、傑さんは笑ってくれた。
「よし。それじゃあ、は一度ここに座ろうか。」
「…?」
家入さんにパイプ椅子を用意され、私はそこに座らされた。
「、もしかして記憶もどったんじゃないか?全部。」
タバコを取り出した家入さんは、火をつけながら私に言った。