第21章 もう一度貴方と(番外編3の3)
「一人はまだ怖いか。なら一緒に行こう。」
もう大丈夫とわかってはいても、無意識に私は五条さんに手を伸ばしていた。
五条さんは、優しく微笑んでくれて、私をぐっと引き寄せた。
「目、閉じてて。」
私は五条さんにしがみつき、目を閉じた。
近くから聞こえる手を叩く音と、風の音。
もしかしたら飛んでいるのかもしれないとわかったけれど、不思議と怖くなかった。
「悟っ!」
傑さんの声がして、私は顔を上げた。
「硝子のところに連れて行く。こいつは総監部に。」
ドサっと、綱手川さんを床に放り投げた五条さん。
「、無事か?」
「うん。」
私は五条さんの上着を握りしめて、傑さんの問いに頷いた。
「、出来ればコイツは僕が直接総監部に受け渡したい。言いたいことがあるからね。」
低い声でいう五条さんに、傑さんも何かを察したようだった。
「ここまできたら平気です。傑さんもいるし…。」
「よかった。」
ぽんぽんっと頭を撫で、悟さんは乱暴に綱手川さんを持つと、また飛んでいってしまった。
「…。服が…」
「あ、大丈夫。破れただけで、触られてはないから。」
傑さんが言いにくそうにしたので、私は安心させるために笑っていった。
乱暴されたと思ったのだろう。
「硝子のところに行こう。」
「うん。」
このくらいの小さな怪我なら以前も治してくれたから、きっと傑さんでも治せるのだろうが、傑さんと悟さんの気遣いが嬉しかった。
医務室にいくと、家入さんがすでに待機してくれていた。
私の状況を見て、傑さんを部屋から出て行くよう言った。
「…平気か?」
「はい。押し倒されたりはしたけど、服を破られただけで、身体は触られてはいません。」
私がそう言ったけど、家入さんは顔を顰めたままだった。