第4章 1歩ずつ
響也side
千明が退院してから1ヶ月が経った。
身体の調子が少しずつ戻ってきた様でバイトにも復帰していた。
それでも夜中たまに魘されて泣いている時がある。
昨晩もそうだった。
「う、うぅっやめて……ごめんなさ……ごめんなさいっ」
「大丈夫だ。ここには俺らしかいない。」
ベッドの上で千明が泣いているのを抱きしめて落ち着かせる。
まだ10代という小さく細い身体で、精神的に大きい物を抱えている。
俺には何ができる。
コイツが少しでも楽になるにはどうしたらいい。
本当は今すぐにでもこんな目に合わせた奴らを殴りに行きたい。
あの動画ごと消したい。
でもきっと千明はそんな事嫌がるだろう。
それに、下手したら千明の顔が世界に広まってしまう。
俺の肩で寝息を立て始めた千明をそっと寝かせ俺も部屋に戻った。
出会った頃は元気で少し喧嘩腰だったのが今では嘘かのように、か弱い子供に見える。
いや……元から我慢していたんだろう。
今のあいつが本当の姿で、ずっと今まで隠していたんだ。
家庭環境も恋愛も全てにおいて無理をしすぎている。
少しでもこの場所が楽になっているといいのだが。