第3章 確信
響也side
荷物を持っていくと三上は目を覚ましていた。
意識が戻って少し安心した。
三上は自分の今の状況を確認するため周りを見渡し、酸素マスクを触ろうと手を動かす。
「うっっ!」
悲痛の表情を浮かべた。
無理もない。
骨が数箇所折れているんだ。
「ここ……」
「おはよう、三上。今、医者を呼んでくる。」
「佐野……俺……」
「……道端で倒れてた。」
記憶が無いのか、信じられないという表情をしていた。
そして思い出したかのように俺に話しかけてきた。
「顔…痛い……。なぁ…鏡持ってきてくれない?」
「……。」
「佐野?聞こえてる?口動かすだけでも痛いし、喋りにくいんだけど…俺の顔どうなってる?」
見せたくない。
「なぁ……」
俺があまりにも答えないからか三上は周りを見渡し反射する物を探した。
反射する物を見つけ、手を伸ばそうとするが
「うっ!あっ!」
痛みで動かせないようだ。
「三上、無理に動かすな。」
「だったら!顔見せてくれよ!い゛っ!」
「っ…!」
「なんでこんな……」
医者が入ってきて三上と話す。
体の状況、これからの治療方針、リハビリの内容。
三上は今置かれている状況に困惑していて話を聞き取れていない。
放心状態だ。
「せんせ……おれ……顔、どうなってます…?」
「見たいかい?」
「はい。」
「……わかった。鏡持ってきてくれる?」
看護師に伝え、鏡を持ってきてもらう。
持ってきた鏡を三上の顔まで持っていき顔を見せた。
それを見た三上は驚いて声が出なかった。
それもそうだ。
傷だらけで腫れ上がっている。
顔だって数箇所骨が折れていた。
「はぁっはぁっ、なに…これ…こんな……先生、これ元に戻るんですよね…大丈夫ですよね…?」
三上の声は震えている。
医者もその三上の質問には頷かなかった。
100%とは言いきれないからだろう。
「そん…な…」
あまりのショックに三上は涙を流した。
「まずは身体をゆっくり治していこう。ね?」
「……はい。」
医者は三上に何が起きたのかは聞くことは無かった。
今の三上の精神状態で聞き出すことはあまりにも地獄すぎる。