第29章 川品中央総合病院
リップ音と共にゆっくりと離れると、彼の瞳と視線が重なる。
すぐ目の前にある彼の瞳は、中まで澄んで見えて、とても美しい。
椛「…満足して頂けました?」
彼女は彼に問いかけると…
安室「もうちょっと…」
小さく呟くと、彼の手が彼女の腰に回り、さらにグッと引き寄せられる。
身体の距離が近づくと、彼女も彼の頭に埋めていた手を首に回して、彼に答える。
それを合図に、再び唇が重なると、先程よりも深く長く、お互いの温もりを分け合った。
やっと満足した彼の腕から解放されると、出発する為お互いシートベルトを締める。
椛(私達、バカップルまっしぐらじゃ無いかな今のところ…
もういい大人なんだけどな…
大丈夫かな…
幸せだけども…)
車を発進させると、言葉を発したのは安室の方。
安室「ランチに行く前に寄り道をしよう。」
椛「うん?
構わないけど何で今??」
安室「着けばわかる。」
そう言って運転をしながら、横目で彼女に微笑みかけた。
少し車を走らせると、入って行ったのはとある百貨店の駐車場。
レディースファッションブランドが多く入っている老舗百貨店だ。
空いているスペースを探しながら駐車場の中を進んでいく。
なんとなくと言うか、薄々感じてはいたが…
先程から思っていた事を彼に問う。