第43章 裏切りの擬装
しかし小さな笑いの息遣いは隠しきれずに、
電話先の安室の方にはもちろん、そんな椛の状況はバレていて…
安室「……今日は声だけで我慢しますから…
…次会った時は、覚悟しておいて下さいよ。」
声がワントーン下がり、男の色香を纏った物言いに一瞬ゾクリとする。
椛「分かりました…
心してかかりますね。」
そんな彼の独占欲を受け止める覚悟がある様な受け答えに、白旗を上げたのは安室の方…
安室「本当にもう…
僕を困らせる天才だな…」
椛「それって褒められてます?」
安室「50&50って所かな。」
椛「うふふっw」
結局はじゃれ合う様な会話のやり取りに、心が軽くなったのはお互い様で…
椛「大変なのは分かってるけど…
ちゃんと、安室さんの体も大事にしてくださいね。」
安室「えぇ、ありがとうございます。
…やっぱり今日の終わりがあのままではなく、今…
椛さんの声が聞けて良かった…」
椛「私も…」
電話越しで顔が見えなくても、今、彼がどんな表情をしているのか目に浮かぶ。
きっと、大好きな柔らかい笑みを浮かべているに違いない。
そんな椛自身も、安室が守り続けたいと思っている優しい笑みを浮かべていた。
安室「じゃあ、椛さんはゆっくり休んでくださいね。
眠る直前にすみません。」
椛「安室さんの方こそ…
無理しない程度に。」
安室「えぇ、ありがとうございます。
おやすみなさい、椛さん。」
椛「おやすみなさい。」