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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第30章 【人ならざる者】


「さしずめ、私は贖罪の代行者といったところですか」
「君にばかり罪を背負わせて、本当に申し訳ないと思っておる。じゃが――」
「――そうしなければ世界が滅ぶ、ですか?」

 ダンブルドアはまた黙りこくった。どちらにせよ、このままだと世界は本当にヴォルデモートの魔の手に落ちてしまう。それを避けられるのは外でもない、自分ただ1人なのだ。

「校長先生、元の世界に戻る方法はご存じですか?」
「それは勿論じゃ。セドリックがやったように、儂の手を取ってくれれば君の居場所へと誘おう」
「それでは……」

 クリスがダンブルドアと両手をつなぐと、セドリックの時と同じようにつむじ風が吹いた。その瞬間、ダンブルドアの手が、縋りつく子供の様にクリスの手をギュッと握ったのが分かった。

(……天才が故の孤独、か……)

 もしかしたら、ダンブルドアにはダンブルドアとしての過酷な使命があったのかもしれない。
 クリスはせめてもの安寧をと思い、ダンブルドアの手を握り返すと、つむじ風と共にあるべき場所へと帰って行った。

* * *

 一方そのころ、泥の様な暗闇の中で、ハリーは必死になってヴォルデモートと戦っていた。
 いや、戦うと言っても相手はクリスの肉体を人質に取っているので、まともな攻撃が出来ない。正直なところ、ヴォルデモートに遊ばれているというほうが正しかった。

「――ふむ、子山羊を追うのもそろそろつまらなくなってきたな。この辺で終わりにしよう、ハリー・ポッター。死ね、アバダケダブラ!」
「ッ……!!」

 緑色の閃光が放たれると同時に、ハリーが反射的に目を閉じた。
 ようやくここまで来たのに、また死ぬのか。結局クリスを救えないまま死ぬのかと、後悔の念ばかりが頭の中をぐるぐる巡った。

 しかし、その瞬間はいつまで経っても襲ってくる気配がなかった。ハリーがゆっくり目を開けると、そこにはクリスの杖腕を、もう一方の腕が掴んで邪魔をしているという奇妙な姿があった。

「何故だ!?完全に融合を果たした『器』の分際でありながら、どうして表に出てこられたのだ!?」
「はッ!貴様は私の体を乗っ取ったつもりだろうが、こっちは貴様の魂の『核』の部分を手に入れてやったぞ!勝負は仕切り直しだ、ヴォルデモート!!」
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