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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第29章 【帰らぬ人】


「どうしたんだい、ネビル?」
「僕……僕はここに残るよ。言っておくけど、ヴォルデモートが怖いからじゃない!ただここには傷ついた人達が沢山いる。僕は戦うより、傷ついた誰かのために力を使いたいんだ!!」
「ネビル、君ってば……!」

 戦いとは、ただ相手を傷つければ良いわけではない。ネビルの様に傷ついた仲間の為に寄り添うことも、戦いの1つだ。
 この状況下で出したネビルの選択に、ハリーは胸が熱くなった。

「そうだハリー、この剣を持って行って!きっと君の役に立つと思うから」

 そう言って、ネビルはグリフィンドールの剣を差し出した。
 ハリーは一瞬、この戦いを終わらせる希望の光を見た気がしたが、寸前のところで手を引っ込めた。

「それは君が組み分け帽子から取り出したグリフィンドールの剣だ、僕のじゃない」
「そんなの関係ないよ」
「いいや、そういう事が肝心なんだ。本当の正しさとは、等しく正しい順序を経て、初めて得られるものなんだ」

 長い旅を経て新しい杖を手にしたハリーと違い、命と共に杖を奪い続けて来たヴォルデモートには決して分からない理屈だろう。
 ハリーがそう言うと、ネビルは「分かった」と言って力強く頷いた。

 残り時間はもうすぐだ。その前に瓦礫の山を越えて大広間にたどり着かなければならない。それに当然ながら、生き残った死喰い人達も隙を狙って攻撃を仕掛けてくる。
 ハリー、ロン、ハーマイオニー、ドラコの4人は飛んでくる閃光を避けつつ、駆け足で瓦礫の山を踏破し、何とか無事時間内に大広間の入口に辿り着いた。

 見慣れたはずの大広間は、天井から斜めにえぐられた様に瓦解しており、本物の空を写す天井はその殆どが無くなっていた。
 沢山の生徒たちで賑わっていた寮テーブルも、もはや瓦礫の一部と化している。
 だが、まるでこの時の為にあつらえられたかのように、無傷の校長席にはヴォルデモートが悠々と座り、王の如くハリー達を見下ろしていた。

「ようやく来たか、ハリー・ポッター」
「――クリスの体、返してもらうぞ!ヴォルデモート!!」
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