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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第28章 【美しき獣】



――美しいもの、それが私の全てだった。

 いつの頃だったか、叔母が年老いて働けなくなった屋敷しもべ妖精の首をはね、廊下に飾るという習慣をつけた。私はそれが至極当然のことだと思っていた。何故なら美しくないものに生きている価値はない、そう思っていたからだ。

 ホグワーツに入学してからも、私の考えは変わらなかったし、私より美しい女もいなかった。
 だが6年生のある日、鏡を見て私は自分の目じりに皺がある事に気付いた。まるで薄汚い屋敷しもべのような皺に、私は絶叫するほど衝撃を受けたのだった。

 以来、私は美しさを保つ方法を模索した。過去にエリザベート・バートリーという貴族の女が、処女の生き血を浴びて美しさを保とうとしていたことを知った。
 とても魅力的な方法だったが、現実的にそれに倣うのは難しかった。

 そんな時、私に運命的な出会いが起こった。――不老不死、私が私であり続ける方法。
 それを実現させようとする闇の皇帝ヴォルデモートを、私は崇拝した。そして崇拝は尊敬に、尊敬は愛に変わった。それでも我が君の興味はハリー・ポッターだけだった。

 だがそのハリー・ポッターももう死んだ。そして新しい『器』を得た我が君が、ホグワーツ城へ凱旋する。
 ホグワーツ城に君臨する我が君と、その隣に寄り添う私を想い描きながら、私は誰よりも疾く戦場を駆け抜けた。

** *

 大半以上が瓦礫の山と化したホグワーツ城を背中に、ロン、ネビル、ドラコの3人はハアハアと肩で息をしながら、どうにか立っていた。
 DAメンバーも戦闘の混乱で散り散りになってしまい、体力などとうに失っているが、それでも地に膝を着く暇などなかった。
 ひっきりなしに飛んでくる閃光をどうにかかわしながら、3人は気力だけで戦っていた。

「あー!!こんなにキツイんだったら、ちゃんとハーマイオニーに好きだって言っとくんだった!」
「なんだ、情けない奴だな。僕はちゃんと言ったぞ!!」
「僕も!勇気を出してルーナに告白したかった!」

 そう言いながら、ネビルの攻撃が『死喰い人』に当たった。 DAの中で1番成長したのは間違いなくネビルだろう。今の彼には過去の不甲斐なさは全く感じられない。
 ハリーの代わりとしてDAでリーダー役を務めていたらしいが、これ以上の適任者は居なかったと断言できる。
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