第27章 【終わる時】
どのくらいの時間そうしていただろう、クリスは倒れたハリーの姿をただ、ただ茫然と眺めていた。
それはまるで夢の様にふわふわした心地で、父様が殺された時とは何かが違う。ただその何が何なのかが分からないクリスは、空っぽの頭のままハリーの名前を繰り返し呼んだ。
「……ハリー?……ハリー?」
しかし返事はない。その内『死喰い人』たちが「おおぉ!」と驚きの声を上げたのを聞き、振り返ってみると、クリスはその時初めてヴォルデモートが気を失って倒れていたことに気付いた。
「おお!我が君!!」
「小僧は……小僧は死んだか?」
「誰か!ポッターが死んだか確かめに――」
「いや、いい!俺様が直々に確かめる!!」
ヴォルデモートは周囲の死喰い人たちを押し退け杖を手に取ると、ハリーの遺体に向かって磔の呪文を唱えた。それでもハリーは声を上げることも、わずかに体を動かすこともなかった。
次にヴォルデモートはハリーの片方の足首を逆さ吊りにし、人形の様に振り回し、何度も地面に叩きつけた。その様子を見ていた『死喰い人』たちは、次第に指をさして哂い出した。
クリスは死して尚、いたぶられるハリーを目にし、怒りが沸々と煮えたぎり、遂にはプッツンと堪忍袋の緒が切れた。
「……殺してやる、貴様ら全員殺してやるっ!!」
怒りが限界に達したクリスが叫んだと同時に、パリーンとガラスが割れるような音が響きわたり、クリスを取り囲っていたガラス玉が砕け散った。
同時に木々が大きく揺れ、気味の悪い生暖かい風がアラゴグの巣に吹いて来た。
ヴォルデモート含む『死喰い人』達がクリスの異変に気付いた時にはもう遅かった。ヴォルデモートはハリーを殺したばかりか、その遺体を痛めつけ、ないがしろにしている。
それは死者への冒涜であり、ハリーに赦されるべきものではない。
「貴様らなんかに、これ以上ハリーを傷つけさせやしない!」
「はッ、杖もないお前に何ができるとでも!?」
「黙れ下種が、お前にも後でキッチリ罪を償わせてやる。だがその前に――」