第22章 【DA再び】
せっかく注目を集めたのに、皆からの質問にハーマイオニーは答えることが出来なかった。
ハリーが居れば少しは説得力があったかもしれない。が、どちらにせよ、突然レイブンクローゆかりの品を探せと言われても困惑して当然だ。
だがその時、いつものような夢見がちなふわふわした声がシーンと静まり返った部屋に響いた。
「……あたし、知ってるかも」
「なんだって!?」
「どこにあるんだ、ルーナ!?」
クリスが必至になりルーナの肩をがっちり掴むと、ガクガクと揺さぶった。これではまともに話したくても話せやしない。少し落ち着けとばかりに、ロンがクリスの腕をつかんだ。
「あたしも、どこにあるかまでは知らない。でもレイブンクローゆかりの品ならアレしかない。『失われた髪飾り』だと思う」
「失われた髪飾り?」
「それってどういう物なの!?」
「ロウェナ・レイブンクローが付けていた髪飾りなんだけど、無くなっちゃったんだ。だから『失われた髪飾り』って呼ばれてる」
相変らずふわふわと喋るルーナだったが、失われているものをどう探せと言うのか。いや、でもハリーからの情報では、絶対にこのホグワーツ内にある筈なのだ。
失われた物、失われた物、失われたもの……。そもそも、それはどういう経緯で、またいつごろ失われてしまったのだろうか?
――駄目だ、全く分からない。それにこのままずっとここで、在りかどころか形さえも分からない髪飾りを探す余分な時間はない。
クリスが眉根を寄せていると、ルーナの方から話しかけてきた。
「あたしが探してきてあげようか?」
「出来るのか!?」
「分かんない。でも、ここでじっとしてても何も始まんないって事だけは分かるから」
クリスがその言葉を聞いた時、ルーナは本当に頭が良いんだと痛感した。『人さらい』に捕まった時もそうだったが、彼女は動く時と動かざるべき時をよく心得ている。
クリスは希望を託すようにルーナの手をギュッと握った。