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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第22章 【DA再び】


「えー、コホン!!それじゃあハリーに代わって、僕からみんなにお願いしたいことがある」
「ハリーからだって!?」
「もうすぐハリーが帰って来るの!?」

 ハリーの名前を出すと、DAメンバーの皆がざわめき始めた。
 それはそうだ、ハリーはDAのリーダーとして好かれていただけじゃない。今やここにいる誰も彼もが『ハリー・ポッター』が『ヴォルデモート』を倒す瞬間を待ちわびているからだ。

 結局、ハリーは最後まで『皆が作った英雄像』を払しょくすることが出来なかった。それどころか時が経てば経つほど、状況が悪くなればなるほど、ハリーは背負うものが大きくなっている。
 そんなハリーに「もう頑張らなくても良いんだ」と、言ってあげられない自分に、クリスの胸は自己嫌悪でいっぱいになった。

 そんなクリスの心中など知らぬ1人の男子生徒が、興奮冷めやらぬ状態で問いかけてきた。確か名前をコリン・クリービーと言い、それこそハリーを英雄のように慕っている同寮の後輩だ。

「ハリーは今どうしてるの!?何か作戦の途中とか?」
「ハリーは今、杖を作り直している最中なの。出来上がるのは明日だから、どうにかそれまで皆で持ちこたえて欲しいの」
「杖を作り直してるだって!?」

 そこでまた歓声が上がった。普通魔法使いは自分の杖を替えたりはしないし、作り直すというのも殆ど聞いたことがない。
 だからきっと皆の頭の中では、ハリーは最強の杖を持ってやって来るに違いない、とかいう妄想にかられているんだろう。

「ねえロン、ハリーはいつホグワーツに着くの?」
「やっぱり箒で空を飛びながら!?」
「いや、それは……えーっと」

 皆が皆“ハリー・ポッター効果”によりテンションが高くなっている中、それを見事に下落させる人物が部屋の扉を開けた。
 それは他の誰でもない、ドラコだった。

「正直に言ってやればいいじゃないかウィーズリー。ポッターが来る手段はついさっき無くなったって」
「ドラコ!」

 ドラコが部屋に入ってきた瞬間、不安にかられて胃の辺りに落っこちていた石が溶けてなくなった。
 だがドラコの登場に喜んでいるのはクリスだけで、他の生徒たちはクリスとは正反対に、みんなが怪訝な目や、憎しみのこもった目でドラコを見詰めている
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