第10章 六年前の悪夢
「お前と違ってこの街の誰も死にたくはねぇんだよ!寝てる暇があったら抗争を終わらせに行きやがれ!!」
太宰「ははは、そう云って皆せっせと抗争に燃料をくべるのさ」
太宰は言葉を続け乍ら、写真を見せてきた。
それは死体だった。
誰なのかと訊ねると太宰の言葉に驚愕した。
太宰「ポートマフィア現幹部、通称"大佐"だ」
俺が知っている限り、あの爺さんはかなり強い。
そんな簡単には死なない筈だ。
何かの冗談だろうと思ったが、太宰の表情からして本当のようだ。
「ッ、、、誰がやった?」
俺の問いに太宰は一呼吸おいてから"白麒麟"と呟き、言葉を続けた。
"白麒麟"は数日前からヨコハマに現れた異能力者。
抗争をしている全ての組織を見境なく攻撃し、抗争そのものを乗っ取ろうとしている悪魔みたいな奴。
奴の異能力は不明だが、異能力者を殺せば殺すほど強くなるという厄介な奴だと太宰は云った。
「ンな奴、どうすんだよ、、、」
太宰「やだなぁ、中也。感想が違うよ。幹部候補の我々にとってはね"これで幹部の席が一つ空いた"だろ?」
太宰の言葉に怒りが達した俺は奴を殴った。
太宰の野郎はいきなり殴るな、自分も人間だと冗談混じりに云う。
そんな奴に俺は殺されなかっただけ感謝しろと伝えた時だった。
背後に気配を感じた、それはだった。
何となく気まずくなった俺は太宰に死ぬまで寝てろと言葉を吐き捨て、部屋からそそくさと出て行った。
の表情なんて見ずに、、、、
そんな矢先、太宰が姿を消したのであった。