第10章 六年前の悪夢
ドォーンと大きな音と共に扉が吹き飛んだ。
コツコツと暗闇から足跡が近づいてきた。
「電話一本で俺を出前みてぇに呼び出すとはいい度胸じゃねぇか」
安吾「皆さん、席を外して下さい。」
『中也、、、ッ!』
「、、、怪我ねぇか?」
気が付けば私は中也の胸の中にいた。
いつもより覇気のない声で私の心配をしてくれる中也に私は頷き、彼の背中に手を回した。
『大丈夫、中也は、、、?怪我ない?』
「俺を誰だと思ってんだぁ?擦り傷一つねぇよ。」
『善かった、、、』
周りに人がいることなんて忘れていた。
中也の温もりに安心しきっていたのだった、、、。
少し気まずそうに安吾さんは咳払いをし、言葉を続けた。
安吾「此処は政府の施設ですよ。こんなことをしてタダで済むと思っているんですか?」
「タダで済むかどうかを決めるのは俺だ、手前じゃねぇ。」
安吾「貴方は僕に借りがある筈ですよ」
「それは手前の方だろ?、悪りぃが少し外で待っててくれ。教授眼鏡と話がある。」
『判った、、、でも、、、』
「判ってる、別に教授眼鏡をどうこうすることはしねぇよ。」
私の云いたいことはお見通しのようだ。
中也は微笑み私の頭をポンポンと撫で乍ら、すぐ終わるから待っててくれと伝えてきた。
少し胸騒ぎがしたものの私は頷き、部屋の外で待つことにした、、、。