第10章 六年前の悪夢
安吾「どうぞ、、、」
『ありがとうございます』
目の前に紅茶が置かれた。
私はどうやら政府の施設にいるようだ。
『それで兄が裏切ったとは、、、』
安吾さんはゆっくりと口を開いた。
兄さんが白麒麟をヨコハマに呼び寄せたのだ。
私は息を呑む。
何故兄さんが、、、、?
きっと何か考えがあってのはず、、、そうだと信じたかった。
『兄さんのことだからきっと、、、何か考えが、、、』
安吾「僕もそう思います。きっと太宰くんには何か、、、でなければ太宰くんが貴女の保護を僕に頼むはずが無い、裏切るならきっと貴女をあの時のように、、、」
『、、、連れて行きますもんね。』
安吾「、、、はい。」
安吾さんはあの事件以来、兄さんとは完全に決別している。
織田作のことは安吾さんのせいではない、兄さんだって判っている。
でも、、、やはり四年経っても安吾さんのことをまだ許せてはいないようだ。
『あの、、、探偵社の皆んなは、、、それと、、、』
探偵社の皆んなと中也の安否が気になっていた。
私だけ安全な場所に保護されているということは、外が危険だということだ。
私の言葉に安吾さんは"今のところ全員無事です"と答えた。
安心はしたが、やはり心配ではある。
続けて安吾さんは"彼ならもうすぐきます"と付け加えた。
恐らく彼とは中也のことだ。
然し、疑問が生まれた。
何故中也が政府に呼び出されたのか、、、
ドォン!と大きな音が室内に響き渡った。
その場にいたスタッフ数名は何があったんだと慌てるも、私は誰だかなんとなく判った。
それは安吾さんもだ。
安吾「来ましたか、、、、A5158ですよ。」