第3章 受胎
――五条悟side――
の部屋には鍵がかかっていた。
どんなに開けてと言っても開けてくれる気配はなく、仕方ないから僕は最終手段としてピッキングをし、の部屋に無理やり入った。
泣いていると思ったけど、そんなことはなかった。
僕はデスクチェアに腰かける。
それらしい用事はないから話すこともない。
そんな僕に腹を立てる。
うん、いつも通りだ。
安心感を覚えながら、僕は言った。
「そうやって、僕だけにムカついておきなよ」
「は?」
言っている意味がわからないのか、彼女は眉に皺を寄せた。
「僕にだけ殺意を向ければいい。いろんな人にムカついてたら疲れるでしょ」
真希や棘、パンダや憂太はの事情を話せば理解してくれる人間だ。
だけど、理解してくれない人間の方が多い。
そんな奴らにいらない労力を使うくらいなら、傑を殺した僕だけにその労力を使えばいい。
だってそっちの方が時間を有効的に使えるでしょ。
何より、他の連中みたいに売り言葉に買い言葉なんてことはしない。
の本音を聞くだけ。
隠している気持ちを知りたいだけ。
あいつと同じ道を行って欲しくないから。
その為だったら、らしくないことでもやるだろう。
その自信がある。