第3章 受胎
「んぅ……」
漏れる声を我慢するが、鼻から抜ける甘い声はどうしたって我慢できない。
瞳を覆っていた包帯を外す五条悟は、キスだけで火照った私の表情を見て、満足そうに笑い。
指の背で頬を撫でられただけで、私の体は過剰に反応してしまう。
馬鹿みたいだ。
本当に。
荒く息を繰り返す。
そんな私の耳に、五条悟は唇を寄せた。
「歪んだ呪いだよ、これは」
ダイレクトに脳ミソに伝わる五条悟の声にぎゅっと目を瞑る。
リップ音を立てて、触れるだけのフレンチキスをすると、五条悟は私の頭を優しく撫で、そして「明日また、勝負しようね」と言い残し部屋を出て行った。
身体の力が完全になくなった私は、床に倒れ込んだまま身動き一つ取れずにいた。
五条の言葉が、頭の中で反芻する。
【歪んだ呪いだよ、これは】
どういう意味だよ。
何が言いたいのかも何がしたいのかも到底理解が追い付かない。
「まじで、意味わかんねえって……」
今日は、理解のできないことばかりだ。
勉強では解決できない問題ばかり。
誰か、誰でもいいから。
こういう問題の答えが載った教科書か参考書を作ってください。
切実に、そう、願わずにはいられなかった。