第3章 受胎
暫く枕に顔をうずめていると、部屋のドアがガチャと音を立てた。
鍵をかけてあるから開くわけないけど。
何度もガチャガチャやる当たり、いい加減わかれよ。
鍵がかかってるんだから開くわけないだろうが。
「おーい、開けてー」
外から五条悟の声がする。
いや、なんでだよ。
開けるわけないだろ。
てか、鍵かかってなかったら入ってくる気満々だったのかよ。
「五条先生だよー」
別に変な訪問販売の人とかなんかの取り立ての人とかって思ってねえし。
お前だから開けたくねえんだよ。
「五条先生が遊びに来たんだけどなぁ」
「いませーん。お帰りください」
「あ、そうなんですね。じゃあまた来ますぅ。……とは、ならないよね。開けてよ。僕とお話しよう」
「私はお前と話す事なんて一つもないから」
「でも僕はあるんだけど。ドア越しだなんて寂しいじゃん。それに、廊下で声出してる僕、変な人だよ」
「安心しろ。お前はいつも変な奴だよ。包帯巻いてんだから」
「あはは、思ったより元気そう」
五条悟の言葉と同時に、カチャンと鍵の開く音がした。
慌てて起き上がると、部屋の中に五条悟がニコニコと笑って立っている。
「な、んで……」
「がセーフハウスの鍵を開けた時と同じことした」
その手にはピッキングの道具がしっかり握られている。
こいつ、まじかよ。
後ろ手で再び部屋の鍵を閉める。
なぜ閉める必要がある。
私はどこかに逃げようとするが部屋の中だ。
逃げれるわけもなく、大人しく座椅子に座った。
五条悟もまたデスクチェアに腰を落とした。
微妙な空気が流れる。
なんでこいつ部屋に来たんだ。
いや、話があるって言ってたけど。
早く話せよ。
私は何もないんだから。