第23章 本音
気付いたら、私は寝ていて。
いや、寝たというか気絶していたのかもしれない。
隣を見れば、悟は静かに寝息を立てていた。
その寝顔に幸せを感じて、また泣きそうになる。
昨日からずっと泣いてばかりじゃん、私。
ていうか、一つ言っていいかな。
全身がめっちゃ痛い。
そりゃあんだけ抱き潰されたら全身痛くもなるか。
痛む腰を抑えながらベッドから起き上がる。
少しでも気を抜いたら転んでしまう。
壁に手をつきながら歩き、風呂場へと向かった。
多分きっと悟が身体を綺麗にはしてくれたと思うけど、普通にお風呂には入りたかった。
筋肉痛にも似たその痛みに顔を歪ませながら、漸く風呂場の扉を開けた。
風呂場にある鏡に自分の裸体が映る。
身体中のあちこちに真っ赤な夢の痕が散りばめられていて。
昨日のことは私の幻覚だったのではないかと疑ってしまうほど、夢のような世界だった。
でもちゃんと現実で。
私の事を好きだって悟は言ってくれた。
私も悟の事が好き。
つまり、これって両想いってことで……いいんだよね?
「まじか……」
自分で確認しといて急に恥ずかしくなってしまった。
小さく蹲り「うぅ~」っと唸っていると後ろから包み込まれるように抱きしめられた。
この体温の温かさを私は知っている。
「起きたらいなくなってたから、心配した」
ぎゅうと後ろから強く抱きしめられる。
私はどこにも行かないよってそう言えたらいいけど。
そんな約束は簡単にできなかった。
だっていつ死ぬか分からない身だから。
それでも少し震えている弱虫で寂しんぼの悟に優しく声を掛ける。
「ずっと傍にいる」
「ん……」
小さく頷く悟の腕を外し向き直る。
そしてその唇に口付けた。
「好き、悟」
昨日はあんなに言えなかったのに。
全部思いが零れてしまうほど、私の口は馬鹿になったみたいだ。