第23章 本音
そう言えば、悟は一瞬目を見開いたかと思うとクスクスと笑った。
そして私の身体を抱き起すと寝室へと運び、ベッドへと下ろした。
「かわいいこと言ってくれんじゃん。嫉妬?」
「……だったらなんだよ」
「待って待って。そんな急にデレないで。僕死んじゃう」
うぅ~と唸り声を上げながら片手で胸を、片手で顔を隠す。
が、隠れていない耳や首が真っ赤に染まっていて、私の心臓がきゅんって音を鳴らした。
簡単にときめいてんじゃねえよ、単純すぎるだろ。
未だに照れている男に私は声を掛ける。
顔を隠したまま「なに?」と聞き返す悟に、私はまたお願いをした。
「脱いだ服、貸して」
「え?」
「お願い」
「……オマエさぁ、まじでなんなの?なんでそんなに煽ってくんの?僕を殺す気?」
「そうだよ。私はオマエを殺す。初めて会った時からずっと言ってる」
「そうだった」
漸く気持ちが落ち着いた悟は私に跨り、上着を脱いで私に渡した。
それを受け取り、服に染み付いている男の匂いを嗅いだ。
変態って言われても今は構わない。
甘い匂いと、洗濯の匂い。
それから、汗の匂い。