第23章 本音
「……うん、悟の匂いだ」
「…………もう駄目だ。オマエ有罪」
「何もしてなくない?」
「めちゃくちゃしてんだろ。僕をキュン死にさせたんだから」
「言い方がおっさん臭い。有罪」
「はいはい。有罪でもなんでもいいから。こっちに集中しろ」
アホみたいな茶番をやり合っていたら、急に悟は真面目な顔になって、私の首筋に顔を埋めた。
くすぐったさや恥ずかしさで、ピクリと身体が跳ねる。
それを面白がっているのか、気分がよくなったのか今度は舌で舐めとった。
「あっ……」
「声、我慢しないで。ちゃんと僕を感じて。今誰に抱かれているのか、ちゃんとその目で見てて。僕のこと」
「…………っ」
ぎらつく瞳に、私の心臓は爆発しそうなくらいドキドキしていた。
あの時とは違う。
視界を奪われてもいないし、頭の中で想像しなくてもいい。
目を開ければちゃんと目の前には悟がいて。
私を、私だけを見てくれてる。
もう、胸がいっぱいだ。
こみあげてくる感情はぐちゃぐちゃに混ざりあって、一言で表すことは私の今の語彙力では難しくて、だけどたった一つだけ確かに言えることがあるとすれば。
悟の側にずっといたい。
その気持ちだけは揺るぎない確かなもの。